断食 Day1 早朝の好転反応 

1週間前から食事量は落としていて、移動日である昨日からはさらにガクンと落としてた。

ただ、僕の意志はコンニャクより柔らかくて、元々は1週間前から何も食べずに断食じゃ!と意気込むのも束の間。

ソッコーで食欲に負けてパクリ、またパクリ。

初志はいずこへ。

昨日は移動日。

家を出る前に惜別のカレドショコラを5枚。

最後の移動、バス乗車前にはコンビニで惜別のアイスクリームをパクリ。

人間の意志は弱い。

目標と実情の中間に着地するのである。

なので、昨日の食事というと、カレドショコラ5枚とアイスクリーム1個。

まあまあ少なく着地できたのでは?

ほんでもって、大きな蛾が侵入した部屋で一夜を過ごし、セミの鳴き声で意識を取り戻した早朝。

誘惑に負けまくったこの1週間とはいえ、そこそこ食事量は減らせていた効果もあってか、1夜にして体調の変化、バリバリ。

気持ち悪くて起き上がれない。

いわゆる好転反応、というやつか。

キツかったら集会場の冷蔵庫にある野菜ジュースを飲め。

昨日の説明でそう教わっていたが、そもそも気持ち悪くて起き上がれない。

呻きながらいつの間にか意識を失い、日差しも強まってきた8時過ぎに目が開いた。

気持ち悪さはだいぶ収まっているが、かといってピンピンしているわけでもなく。

ぼおっとしていると、館内放送でなんだか聞きなれない歌が流れた後、9時からゴスペルがあるよってアナウンス。

ゴスペルって、なあに?

キリスト教

ようわからんし、他にやる事はいっぱいあるけど、せっかくこの地に来たのだし、行ってみよう。

というわけで5分前くらいに集会場へ行くと、昨日送迎してくれた施設の方がいた。

今日は日曜日なのでハーブティーは無いんだけど、黒糖ドリンクを作ってあげる。

そう言って、コップに黒糖を入れようとしたところで、黒糖を収納している透明なプラスチック製の入れ物の中にデッケー蟻さんが3匹猛烈な速さで蠢いている様が目に映った。

その方は特に驚く様子もなく、建物の外へ出て行き、「蓋を開けたらすぐに自分から出て行ったよ」とノープロブレム感全開もまま、黒糖をスプーンで掬い、次にショウガ粉をコップへ入れた。

お湯が注がれたその液体を、僕はそう抵抗なく飲んだ。

ゴキブリが入っていたらもうちょっと顔を顰めていたかもしれないが、蟻さんならまあいいか。

なんでもギチギチで息が詰まりそうな下界で暮らしていると、こういう緩さが妙に心地よかったりもする。

そうこうしているうちにもう一人やってきて、ゴスペルは始まった。

聖書に書かれている歌を歌う、というイベントのようだ。

後から聞くと、その人は牧師さんだった。

神父と牧師の違いも知らない僕だったが、別にキリスト教に抵抗感があるわけでもない。

牧師さんのリズムに合わせて、一緒に歌った。

牧師さんは31歳くらいの時、神と出会ったのだという。

その時は号泣した、みたいな話をしてくれた。

神と会ったことのある人と僕は初めて会った。

 

昼からは風呂。

といっても施設内に風呂は無い。

10 km先のホテル、そこまで走っていく。

送迎はあるし、体調もどちらかというと悪いし、別に走っていく必要はないんだけど。

失神して救急車で運ばれた人もいるから、湯船には浸かるなと言われていたが、ビビりながらもちょっとだけ浸かる。

生きる、イコールリスクを取るってことだ。

 

まだ初日だけど、体内で確実に何かが起こっている。

そう実感した一日。