20年という歳月

スポーツ用品店は数多くあれど、軟式野球用品の取り扱いは数多くあれど、硬式野球用品をバッチリ取り扱っているお店は案外少ない。

そして、価格は高い。

高校で野球を続けるか?

ここで、多くの人が野球を離れる。

硬式のボールでやるには、ある程度の覚悟が必要なのだ。

ネットのおかげで、最寄りのその数少ない店舗を探し当て、突撃する。

20年ぶりに見る、ズラッと並んだ硬式グローブの数々。

バットもある。

ぶわあっと、僕の中でワクワク感がこみ上げる。

20年離れていても、やっぱり好きなものは好きなのだ。

見知らぬメーカー2社のロゴが頭に入ってこない。

そして、20年という歳月にゾッとする。

あれからもうそんなに経ったのか。

老化により、体内時計の進むスピードが遅くなるから、時が経つのが早く感じるのだという。

怖い。

これから時が経つのは早くなる一方なのだ。

ボーっとしてる暇はない、でも、ボーっとする時間も大事。

結局は自分の無力さを受け入れ、配られたカードの中でちょぼちょぼともがくことくらいしか、人間にはできないのである。