破格の定宿

久しぶりの泊まり出張。

破格の定宿もいつ以来だろうか。

地獄の現場が終わり、宿へ向かう。

携帯には着信と留守電が残っていて、「電話をくれ」と言う。

折り返しても出てくれない。

宿に入り、チェックインでは、そもそも受付の人がいない。

据え置きの電話でかけると、担当の人が出てくれた。

ペイペイ、楽天支払いできないと答えると、ピッタリ金額を外の郵便受けに放り込んでくれと言う。

相変わらずワイルドである。

荷物を寝床の側に置き、屋上のフリースペースで暗いビルの谷間を眺めながら唐揚げを頬張る。

コロナ前にはゴロゴロいた海外からのバックパッカーは皆無だ。

疲労困憊で休みたいけど、悲しいかな、この出張はそもそも会社からしたら計画の範囲外。

1階に降り、控え目に盛り上がる修学旅行の大学生っぽい輩を背後に、共用スペースで夜中まで仕事。

盛り上がり方にちゃんとブレーキが効いていて、不思議と仕事に支障をきたさない。

ありがとう、若者たち。

僕はあなたたちの年齢の時、ちゃんと迷惑かけていたよ。

最近の若者たちは優秀である。