泥舟

自分、何きっかけでこの映画を知ったんだっけ?

それすら思い出せないほど、以前に知った映画。

観たい、そう思った時にはとっくに劇場公開が終わっていた。

んで、そっからちょこちょこ「そろそろDVD発売してるかな?」ってネットをあたるんだけど、一向にその気配がない。

調べては落胆し、繰り返すうち、たまたまこれもなんで知ったか、こじんまりした映画館で上映されるという。

「さよならテレビ」っていう、その映画。

COCOAのインストールされた携帯を家に置きっぱなしにして、観に行ってきた。

よかった。

全米が泣いた」ようなハリウッド映画なんかより、僕は好きだ。

上映後、監督さんが舞台挨拶。

さらに、劇中に登場したキャストが登場。

キャストといっても、ドキュメンタリーだから、俳優さんみたいに演じてるわけじゃ、たぶんない。

入社1年で派遣切りに合う、いわゆる「できないやつ」って絵面の出演者。

劇中も、その出演者の登場シーンで会場内から何度も笑いが起こった。

僕もクスッとなりそうになったけど、すぐに「笑えねえ」って思った。

 

僕も含めなんだけど、たぶん、みんな無意識にバカにしてる。

無意識に見下している。

それに気づいた時、妙に自分が情けなくなった。

監督はでも、見下しつつも、見下していない。

ちゃんと認めてる。

その出演者のことを「自分の言葉で話せてる」「これから生き残るのはそっちかも」って、冷静に調子に乗っていない。

「泥舟に乗っているのはこっちかもしれない」って。

 

こんなに恥ずかしい姿をさらけ出してまで、映画に出るのはなぜだろう?

どんな心境で、公開したのだろう?

せっかく「質問ある方は?」ってコーナーがあったのにさ。

その疑問が沸いたのは、帰路についてからだった。