怠惰を求めて勤勉に行き着く

金曜日はいつも粘れない。

最低限やらねばならぬ仕事を終えたらギブアップ。

月曜日の朝までにやらなきゃいけない物量の多さに絶望し、明日だな・・・ってなっちゃう。

遅い朝に目を覚まし、気を奮い立たせて机に向かう。

何とか今日中に終わらせて、明日は休みたい!

仕事のモチベーションって、それだけ。

怠惰を求めて勤勉に行き着く。

テレビでかまいたちのハマイエさんて人が言ってた言葉。

いやあ、まさにそれに近いかもしれない。

自分にはヴィジョンがない、それが欠点だって思ってたけど、なんか救われるというか。

怠惰を求めてるだけでもいいのかもしれないって、なんか肯定してもらってるような、勝手に。

いやいや、要はかまいたちのお二人はただただ勤勉なだけなんだろうけど。

 

降りしきる雨の中、網戸から声が聞こえた。

「〇〇〇ちゃんいますかー!」ドンドンドンドン!!!「〇〇〇ちゃんいますかー!!!」ドンドンドンドン!!!「〇〇〇ちゃんいますかー!!!」ドンドンドンドン!!!「〇〇〇ちゃんいますかー!!!」ドンドンドンドン!!!!!「〇〇〇ちゃん、いますかー!!!!!」

ベランダからそっと見下ろすと、〇〇〇ちゃんの家のドアをノックする近所の女の子がいた。

雨の静けさの中、周波数の際立った音量が響く。

僕は恐怖を感じた。

どちらかと借金の取り立てに近い。

いや、実際に取り立てられたことはないんだけど。

何だろう、なぜ僕はこれが遊びの誘いに聞こえないのだろう?

わかった。

相手に対する思いやりがないのだ。

自分も、気をつけなあかんな・・・。