恨み名人

母はいつも恨み節。

じいちゃんにこんなことされた、ばあちゃんにこんなこと言われた。

じいちゃんはもう死んだし、ばあちゃんは死んでいないけど、もう実家にはいない。

それでもやっぱり、恨みは深い。

ああ、忘れてた。

母方のじいちゃん、つまりは母の父への恨みも根強い。

こちらは少しニュアンスは違う。

自分の実の父だから、なんだろう、そこまで全否定するわけでもないというか。

あくまでも身内って範囲内で、なんというか味方感を残したまま恨んでいる。

もう一人忘れてた!

母の夫、僕の父への恨みもコンスタント。

「はよ片付けろ」と毎日のように言ってもまだ片付けていない、と本人に毎度愚痴っている。

昔仕事やめた時の話も、帰省の度、毎回必ずする。

もはや恨み名人の域である。

 

実家に住んでいた頃を思うと、確かに母はダントツで働いていたかなと思う。

家事も全般やって、正社員で働いて。

ほぼ常にキレながらだけど。

果たして、母はあんなに頑張る必要があったのだろうか?

いつ帰っても「私の人生はなんだったのか」「最悪の人生」とこぼす。

女性がのびのびと自由気ままに生きるにはとても窮屈な時代だったんだと思う。

田舎だから、よりそうなのだろう。

ずっと窮屈に生きてきたから、羽の伸ばし方を知らない。

 

僕は、母に何もしてあげることができない。