幸せな愚痴

母は拗ねている。

よく「最悪の人生やわ」と言う。

何か理想とする人生があって、そこと比較して程遠い今までだった、ということだろうか。

その内容はというと、何言ってるかなって考えてみると、いつも他人のこと。

父の仕事がこうでこうだから、父があの時転職したから、じいちゃんがあの時こうだったから、ばあちゃんがああだったから。

あとは、直近でいうと、脳の手術で失敗して後遺症が残ったせいで・・・という話。

まあ、確かにじいちゃんとばあちゃんが家からいなくなって、やっと穏やかに気兼ねなく過ごし始めてた矢先。

そのタイミングで起きた不幸。

だから、ちょっと同情しちゃうところもあるんだけど。

でも「自分がこうすればよかった」って、そういう自分起点の話が一個もない。

なんか、そこは違うんじゃないかなって。

あとは、今60歳を超えていて、結婚して子供二人いて、孫3人いて、家もあって、お金に困っているわけでもなくて、夫がまだ生きていて、毎日は無理だけど車でどこかへ送迎だってしてくれる。

その状態で「最悪の人生やわ」って、結構幸せな愚痴だなって。

モノサシをウクライナへ広げれば、そのまま家にいたらぶっ殺されちゃうかもしれないから、どこか遠くへ避難しなきゃいけない人たちもいる。

 

母の理想の人生とはどんなものなのだろうか?

今度、聞いてみよう。