奥さんの友人にどっしり構えたデカパイさんがいる。
看護師さんとして過酷な現場を日々こなしているから、肝が据わっている。
坊ちゃんの素行の悪さにも「ケニー、たっちゃんはね、大丈夫だよ」って言葉をかけてくれるという。
脳がやられて、会話もできない、何もできない。
そんな患者さんと向き合っているからこその、言葉の重みと深み。
そんな話を聞いているとデカパイさんは何があっても動じず、泰然としていそう。
ところがね、デカパイ姉さんの話。
姉さん、離婚した後、また結婚しますって記者会見があったんだって。
父上が気をきかせて「いつから付き合ってるの?」って聞くと、前の結婚期間と被ってたの。
デカパイさん、それにショックを受けたんだって。
甥っ子の状態も良くないやらどうのこうのってやら、諸々の事情もあって、あそぼーって気分になれず、奥さんとの予定をキャンセルしたとか。
僕の感覚、別に大したことじゃないじゃんって思うのね。
その、病院で接する患者さんのこと考えたらさ。
だからさ、思ったの。
自分の家族は割り切れないんだって。
逆にね、仕事だと、割り切れちゃう。
体壊すまで働いたり、無慈悲なことも指示されたらできちゃう。
そこが人間らしさであり、愛嬌であり、欠陥であり。