数年前の話。
とあるビッグプロジェクトが終わり、何らかのテープカット的なイベントがあったという。
ほら、例えばビッグブリッジが開通するときに、スーツ着た偉い人たちが並んで、ハサミで紐を切るやつね、きっと。
そんで、会社の社長さんが現場にきたんだって。
当時はまだテレワークも世に浸透していなかったしね。
式典の前、控え室。
そのプロジェクトに関わったメンバーは社長と別室。
社長は下々のメンツの集う部屋へ顔も出さず、労い一つなく、テープを切ったら帰って行ったという。
たぶん、首都へ帰ったのだろう。
憤慨した下々の民は営業さんへ怒りをぶつけ、そのぶつけられた営業さんは詫びていたという。
なぜ営業さんが謝らねばならないのか、なぜその人たちが営業さんへ文句を言ったのか、なぜ社長に対して怒ったのか、全てはよくわからないが、でも、僕が社長だったら「お疲れ様」くらいは声かけそう。
俺、あいつらとは違うから。
そう思っていないとできない芸当だよね。
大企業の悲劇。
存在が遠すぎて、もはや社長と平社員など住む世界が違ってて、他の会社の平社員の方が自分の会社の社長よりも親近感沸きそう。