賃貸のベランダに小さな庭。
伸びた草を刈りに、降り立つ。
同時に、ピョン!って何かが跳ねる。
カエル?いや、田んぼが近いわけじゃねえし。
目を凝らし、同じ緑の中に浮かび上がってきたのは、フォークくらいの大きさのバッタ。
そこそこ、デカいね。
刈り始めると、モニョモニョした黒い幼虫。
これが、5匹以上いた。
そういえば、地面が少しフカフカしている。
そうか。
僕は知らず知らずのうちに、「土」を作っていたんだ。
初めは、グラウンドみたいな乾いた土だった。
草だって、なかなか生えてこない。
そこに、芝生を植えた。
その芝生も、あまり元気なかった。
そこから、5年。
枯れた草が肥やしとなり、また草が生えて。
そうか、こうやって「土」はできるんだ。
わかった頃に、できるようになった頃に、違うステージへ。
人生の常ですね。
お隣さんの庭を見ると、あの頃と同じ乾いた土。
バイバイ、僕の庭だった場所。
たぶん、1ヶ月後には、この姿。
管理会社に強烈な除草剤を撒かれて、お前らは全滅する。
でも、僕は知ってる。
お前たちは絶対に諦めない。
コンクリートでさえも、突き破って生えてくる。