未来の「かもしれない」

機械を固定するナットは、いずれ緩むもの。

しょうがないんだけど、それがそのまま客先に通るかというと、なかなか・・・。

溶接でくっつけちゃえば緩まないけど、今度は外す時が大変。

施工も、もちろん手間がかかる。

将来外す時、あるの?

あるかもしれないし、ないかもしれない。

人は未来の「かもしれない」に弱いのである。

 

そんなお悩みに答えてくれるのが、緩みにくい製品。

特殊な構造で、ノーマル品より緩みにくい。

しかも、溶接と違い、手作業で取り外しもできる。

過去の図面を見ていると、見知らぬ製品が・・・。

 

この時はなんでこれを使っていたんですか?

今の標準と違いますよね?

 

答えはシンプル。

その時はそれしか知らなかった。

 

あっ、なるほど。

それよりも今標準で使っている製品の方が緩みにくいから、変えたんですね。

 

答えは意外。

それはわからない。

 

えっ??じゃあなんで変えたの?っていうのは一旦置いといて。

それぞれ違うメーカーが緩みにくい製品を作ってる。

そんで、各メーカーが比較実験をやってるわけ。

そのデータがすごいの。

どれも「自社製品が一番緩みにくかった!!」って結果なの。

 

コラ!嘘つくな!!

思わず言いたくなります。

何かしら、カラクリがあるのでしょう。

自社に有利な結果が出るような実験条件にする、だとか。

緩む力だって、いろいろあるだろうに。

こういう条件ならウチの製品、強いよ!

そんな風に言ってもらえれば、判断しやすいんだけど、そんなもんない(笑)

 

かくいう僕も、似たような経験があります。

自社製品の客先プレゼン。

えっ!?これ嘘じゃないですか!

正確に言うと100%嘘じゃない。

ただ、都合よく解釈するにもほどがあるし、そんなもんすぐわかる。

当時の上司は言った。

 

俺も最初そう思った。

でも「こういうものなんだ」って教えられた。

 

んー・・・。

思うのはね、もっと正直に言ってもいいんじゃないか。

それが許される風潮になってほしいってこと。

そもそも完璧な選択なんてなくて、それぞれメリットとデメリットがある。

それを比較して、よりマシな方を選ぶということ。

デメリットも抱えて、選択するという意思。

 

100%いいモノなんて、そうそうないと思うの。

ここはすごくいい!ただし、条件によっては電気代は少し増えちゃう・・・。

そういうことって、しょうがないし、いずれバレる。

 

背景にはさ、「受注するまでが大事」があると思う。

「受注後は敗戦処理と同じ」という言葉、社会人2年目に聞いた。

一つの事実である。

でも、あまりにもそっち側に行き過ぎるのも、どうなの?

繋がっているロープは、意外に脆く、簡単に切れてしまうかもしれない。

 

ポスト真実の時代。

手間だけど、「その後」も大事に。

なかなか切れない、頑丈なロープ。

そんな人間関係を築ける人に、なりたいと思うのです。