感覚こそ、万物の出発点

急ぎじゃないです、との添え書きとともに送られてきた書類は、それはもう酷かった。

おまえ、書類作成の仕事を舐めているだろう?

添削しながらムカついてきた。

僕自身、書類仕事は嫌いだし、苦手だ。

社会人となって、作る書類は軒並み真っ赤っかに添削された。

初めて添削無しの一発OKで書類が通ったのは、確か4年目か5年目くらいではなかったか?

我ながら気の遠くなる歳月、添削し続けてくれた当時の上司に感謝である。

その書類はお客さんからのクレーム対応のものだったが、書類を出しただけで収まった。

書類は時に、人を納得させる。

杉浦千畝さんだって、突き詰めれば書類を作っただけだ。

ただし、魂を込めて。

仕事とは、他人を納得させることの連続、とも言えよう。

さらに抽象化すると、それは、人間の感情との戦い。

この世は感情で動いている。

そして、感情を形成する基点は、感覚。

感覚こそ、万物の出発点なのだ。