近所に南極船「破氷艦しらせ」が停留しているという。
ろくに場所も確認せずに息子と二人、自転車で海へ向かう。
しらせ行きのシャトルバス発着場に到着。
おかしい、ここではないのか?
交通整備のお兄さんに場所を尋ねると、反対方向だった。
この、僕の人生のあたって砕ける感は、今後も死ぬまで直らないのだと思う。
シャトルバスを追いかけて自転車を漕ぐ。
20分ほどで、船は見えた。
ドデカい。
そして、来るわ来るわ、凄い人。
遠方の車のナンバー、多数。
ふと、見覚えのあるような顔がチラリ。
声を聞いて確信する、あの人だ。
奥さんと息子さんと、3人、こちらには気づいていない。
僕はそのまま気づかなかったことにして、すれ違う。
せっかくの家族団らんのリズムを乱すようで、僕は話しかけられなかった。
壮大な船に、僕は楽しかったのだが、正直な息子は「船に興味が無い」と、終始帰りたそうだった。
彼に何かを強制することはできない。
改めてそう思うが、「やらなければならない」と認識していることに関しては、やりたいという思いがなくてもやる息子。
人が動くか否かは、認識次第なのである。