絶対当てられへん

小さな会社の偉い人。

丸太のような腕と首。

その腕に嵌められた金属バンドの時計。

サイズは大きめだ。

つい、聞いてみた。

 

その時計、高いんですか?

 

相手も乗ってきて、いくらなのか値段を当てるゲームへ発展。

「今までだあれも当てたことない」

「絶対当てられへん」

「もし当てたらあげる」

「値段聞いたらビックリするで、絶対」

混乱した僕の予想金額は800万円。

答えはなんと、1万5千円。

アチャーっ!

試しに僕がその時計を嵌めてみると、なんとも安っぽい。

時計は錯覚。

嵌めている人によって、見ている人が勝手にその高級感を勘違い。

 

ちなみに、その丸太の人の父は、その昔、100万円以上する腕時計を飲み屋で居合わせた人に「50万円くらい」と言われ、ブチ切れていたそうで。

 

腕時計ってなんだろう。

値段ってなんだろう。

価値ってなんだろう。

 

何百万円もする腕時計があるのは不思議だ。