200円

リュックを売りに行った。

いいやつなの。

たくさん、使ったよ。

仕事で、よく使ったね。

でも、正直なところ、買った時のトキメキは100%でなかった。

その時、バイク通勤になるからリュックが必要だった。

たしか、そんな理由。

そう、リミットがあったの。

どうしても妥協しなきゃいけなかった。

限られた時間で、その中にある選択肢の中から決めなきゃいけなかった。

その中で一番いいのを買った。

その中で一番トキメキがあるものを。

 

4年前くらいに買ったやつだけど、いいやつだから、まだ全然ヘタってない。

売値は2000円になった。

どうしても、買った時の値段を思い出しちゃうよね。

そんで、思ったの。

トキメキが100%じゃないけど、どうしても買わなきゃいけない時。

そんな時は、必要最低限の機能と見た目だけを満たしたものを買ってはどうか?と。

え?普通の人はそうしてるって?

私はそうじゃないの。

その中で一番いいものを買ってたの。

 

買った時との差額もそうだけど、売るときに思ったの。

こんないいカバン、微妙な気持ちで使ってたの、カバンに対して失礼だったかもなって。

作り手に対しても。

 

一緒に持って行って「これ、売れますか?」って聞いたカセットコンロ、200円になった。

おっ、そんなに価値あるんだ。

自分にとっての価値と、他人にとっての価値は、いつも違う。

よく、服や本を売りに行って「値段がつきませんが、いいですか?」って聞かれる。

いいんだけど、ちょっと寂しい気持ちになる。

それは、お金をもらえないことに対してじゃなくって、「お金を払う価値がない」って判断されたことに対して、だと思う。

だから、この200円は、意外と嬉しかった。