帰りの電車はいつも先頭か最後尾の車両に乗る。
僕の後列に並んでいた人が席に座ろうと僕を抜かして先に車両の中に入っていく。
競争社会である。
車両から出てくる人に加えてそした背後からの人たちをいなした後、運転席側の隅の壁に体を預ける。
そうすると、立ち乗りでも少し楽なのだ。
定位置に陣取り、ふうと一息つくと反対の隅っこで壁面をゴシゴシ拭いている。
除菌?車掌さんだろうか?
じーっと観察していると、どうやら職員さんではない。
いち、乗客だ。
猛烈に壁や取手を拭きまくった後、彼は拭くのを止め、ただの乗客になった。
見えない、わからないことへの対策。
そのレベルはまさに人それぞれ。
わからないから、誰のやり方が合ってるのかもわからない。
たまたま合ってた人が生き残る。
もしかするとやり方は関係ないかもしれない。
でも、誰かしらが生き残る。
多様性の強みだ。
ああ、あの人が生き残るのかもしれないね。
猛烈な除菌活動を見て僕はどう思えばいいんだろうと1日考え続けてたどり着いた答え。