教えるのとやるのは次元が違う

ペットボトルのキャップを外そうとして、回らない。

水筒の蓋も外せない。

握撃不足。

昨日の初ボルダリングで、5歳児並の握力。

 

平日の開店直後。

広い建屋内に新人一人がポツリ。

新入り教育を受けている間に、カランカランと、入店の音色。

昔の大学の先輩に似たマスク姿。

やっぱ、それはみんな必着なのね。

 

注意事項を聞いていて、なかなか危険な競技だと感じる。

皆、失敗すると壁面から落下してくる。

ちゃまおこがマットの上ではしゃいでいようものなら、大惨事。

これは気軽に坊ちゃんと二人で行こう、とはならないね。

まあ、危険度は野球だって変わんないか。

キャッチャーの側ではバッターが気違いのようにフルスイングするし、たまたまそこにボールが当たろうものなら、野手めがけて高速道路のスピード違反車以上の速度で石みたいに固い物体が飛んでくる。

恐い。

命懸けである。

 

さて、若くて当然チャラいけど、中身はそこまでチャラくなさそうなお兄ちゃんが壁の前で解説してくれる。

「ホールド」と呼ばれる突起物を捉えながらゴールを目指すんだけど、どれでも自由に触っていいわけじゃない。

レベルごと、スタートとゴールに目印が貼ってあって、その色のホールドだけが使えるやつ。

そんで、レベルが3つくらい上がると、もうわけわかんない。

 

最初の2レベルくらいは、難なくクリア。

チビッコでも登るって言ってたくらいだから、人類として当然。

ところがどっこい、3つ目のレベルから順調に躓いた。

何回やってもできないし、そもそもどうやるかのイメージが沸かない。

壁の前に立ち尽くす僕に、先輩が声をかけてくれた。

こうやんだよ、手本を見せてくれる。

なるほど!

目から鱗

そのやり方でトライし5回目くらいでできた。

 

その後も目をかけてくれた、その人。

さらにその上のレベルも、一つできるようになった。

隣の傾斜が違う壁の同じレベルにチャレンジ。

なかなかできない。

あと、握力がもう残っていない。

お手本も見せてもらったんだけど、手がついてこない。

教えるのとやるのは次元が違う。

先輩はサラっと名言を吐いて、淡々と自分のレベルに取り組んでいた。

 

1時間半で、ギブアップ。

もうね、あの猿系の木から木へキキーッて言いながら飛び移ってる奴ら、尊敬するよ。

今度動物園で会ったら、見方変わるね。

「飼われてる動物」なんて目では見れない。

握撃のスターたちだ。