ため息

帰宅すると、誰もいない部屋の匂いがした。

嫌なことからやってしまおう。

キッチンの排水口、ゴミかごに溜まった生ゴミを捨てる。

さあ、これでスースー流れるよね?

 

・・・あれっ?

なんで流れないの?

ゴミかごに溜まったものは捨てたのに・・・。

 

恐る恐る、ゴミかごアップ。

うっ!?網目の隙間がギットギトのヌッメヌメで詰まりまくっとる・・・。

そんで、黒だのオレンジだの大層カラフルな出で立ちで・・・。

 

これが現実だ。

嫌なことから目を背けても、仕方がない。

掃除用の歯ブラシを右手に構え、ため息とともにこすり始める。

 

奥さん、排水口のネットって、使わんくなったん?

ああ、なくていいかなって・・・。

あぁ・・・。そうなんや・・・。

 

数日前の会話を思い返しながら、こすり続けて10分。

ようやく、ゴミかごの地肌現る。

ふぅ。

手を洗い、近くにあったゴミをゴミ箱に入れようとした時。

開けた蓋の向こうから、ムッとした異臭が鼻をついた。

うっ、なんやこの匂い!?

なんで普通のゴミ箱がこんなに臭いんや!?

よく見ると、納豆のカップがいくつかドボン。

あぁ、そりゃ臭うわな・・・。

 

はぁぁああああ・・・・

 

全身の脱力感とため息。

 

掃除がそこまで嫌なわけじゃないの。

ギットギトのヌッメヌメになってから掃除しなきゃいけないのが、とても嫌なの。

 

一日三食、絶対自炊してほしいとか、そんなことは思わないの。

週に二回ホカ弁でも、構わないと思うの。

でも、せっかく自宅で過ごす時間なのに、排水口とか、ゴミ箱でため息つきたくないの。

そんだけなの。