タバコの雨

マンションの中庭。

そこに強烈な数のタバコが捨ててある。

見るに、耐えない。

 

日曜日に、奥さんが掃除した。

やるなあ、奥さん。

そこに降り立つのもちょっと難しい中庭。

時間をかけて、一つ残らず回収。

やっぱ、キレイだと気持ちがいいね。

 

さて、平日になって。

それはもう、すぐにタバコが復活した。

僕はキレた。

 

一階の部屋をピンポン。

タバコについて質した。

 

結果、一階の方はシロ。

犯人ではなかった。

マンションの管理会社からも犯人扱いされてかなり嫌な思いをしたという。

疑って申し訳なかった。

その方はインターホン越しの会話を切り上げ、途中から出てきた(笑)

僕の母くらいのおばあちゃん。

なんでも、iPadでタバコが増えていく様子を撮影し、管理会社へ訴えてきたのだという。

タバコは上の階から降ってくるのだという。

タバコの雨。

うだうだと中庭のタバコについての会話は弾み、その方は「iPadで撮影した・・・」という話を繰り返していた。

 

そんな中、上からシュポッと音がした。

見上げると、誰かがタバコを吸っている。

iPadで撮影した・・・」を繰り返すおばあちゃんに相槌を打ちながら、僕は5秒に1回くらい上の階を見上げた。

 

そして、その時はきた。

タバコの火が根元まで来たのだろう。

その誰かはピッと指で弾いてタバコを捨てた。

 

瞬間、僕は怒鳴った。

おい、コラ!見たぞ!てめえ、今タバコ捨てたやろ!

「ちょっと、僕言ってきますわ」という僕に対し、「私が言ったとは言わないで」と訴えるおばあちゃん。

いや、そんなことするわけがないし。

という意図のことを言って、僕は上の階へ。

ピンポン押しても出てこない。

部屋へ閉じこもって電気消しちゃってる。

コラ!出てこいや!!

怒鳴っても出てこない。

 

というわけで、一旦諦めました。

という話。