二つ目の卵を割ることができなかった。
立ち尽くした奥さんの頬を、ボロボロ涙が溢れていた。
できない・・・。
どうどう、どうどう。
さあさ、布団に戻りましょ。
卵焼きは、作っとくからさ。
引き継いだ、坊ちゃんの保育園のお弁当。
確実に雨で中止になるであろう遠足のお弁当。
卵を割って、割って、割って。
マゼマゼ、ニギニギ、ノリ巻いて。
今まで、平日は坊ちゃんに時間使っていなかったなぁ。
全然使ってなかった。
卵が割れなくなっちゃった、奥さん。
異変には気づいていたのに、何もしてあげていなかった僕。
ごめんね。
まあ、ゆっくり休んでよ。