坊っちゃん、帰るよ〜
いつもの後ろ姿に声をかけ、頭を叩こうとする。
たつくんのおとーさん、それちがうよ。
たつくんこっちだよ。
えっ?こっち??
おおっ!坊っちゃん、こっちだ!
じゃあ、あっちのは?
うっ、確かにズボン違う。
髪型がほぼ同じなのが、いかん。
危ない、危ない、人の子の頭はたくとこやった。
それにしても、この賢い少年、誰?
名札を見るとナガトモさんというようだ。
う〜ん、感謝。
たつくんの、ママは・・・おしごとおそいの?
いや、おかーさんはね、調子悪くて実家におるんだわ。今、坊っちゃんと俺で二人で暮らしよるよ。
返す言葉がなく、ナガトモくんの首が、わずかに傾く。
さすがのナガトモくんでも、状況が飲み込めないようだ。
いいんだよ、ナガトモくん、この状況を君が理解する必要は全くない。
あの、後ろ姿激似の少年、明日から要注意だわさ。