街の中に冬を探して

路面電車に乗りたいと言う坊ちゃん。

よし、じゃあいこか。

家から出かけて、待ったをかける。

 

お前さん、冬休みの宿題終わったんかいな?

 

終わるまで行きませんよ。

目標があると人は動くもので。

かといって、詰まるとこは詰まっちゃう。

残った課題は「冬を見つけよう」ってやつ。

例えば、地面の水たまりが凍ってた、とかさ。

雪を見たってのもあったんだけど、ちょうど冬休みに入る前。

この、人工的な街の空間って、意外と冬が見つからない。

 

あんまりいじめてもしゃあないので、「よし、路面電車行きながら冬を見つけましょう」って言うと「うん!!」と嬉しそう。

10秒後には完全に忘れてる。

こまめに「冬見つかった?」と聞きながら、路面電車終点まで行っても見つからない。

諦めかけた復路の路面電車

車内の壁に「おでん車」のチラシ。

冬に、車内でおでんを食べながら乗れる電車ね。

これ、冬じゃん!って坊ちゃんに提案。

最初は「えー、これでいいの?」と怪訝そうな顔。

とはいえ、他に冬が見つからない。

仕上げた絵日記形式の宿題。

描いた絵には、車内の壁にかかったチラシの束が黒々と四角で表現されている。

んー、これはたぶん伝わらない!

けど、いい絵!