その土地が人をつくる

引っ越すと、「生活圏」をパターン化する。

スーパーはどこに行って、ホームセンターはここで、スポーツ用品なら・・・

といった具合。

定期的に利用するお店は押さえにかかる。

 

それは、スーツのズボンをクリーニングに出した時だった。

翌日かその次の日まで。

そのくらいで仕上がると思い込んでいた。

店員さんから返ってきたズボンの滞在日数は衝撃的だった。

えっ、それって一週間くらいじゃん!?

思わず「そんなにかかんの!!??」って言っちゃった。

 

それからしばらくして、年末。

コートのボタンがヨレヨレ。

外れる前に直しておこうと思って、服の修理屋さんへ。

これもね、以前住んでいたところなら1時間くらいで終わるのさ。

だから、ぶらぶらして取りに行く、みたいな日帰りができるのね。

なんと、ボタン5個取り付けに2泊3日。

内心の「ほえーっ!?」を押さえながらコートを預け、想定内を装って退店。

 

都会に住みなれて、僕はなんて不寛容な人間になっていたんだろう。

いいじゃないか、スーツのズボンなんてそんなすぐに仕上がって来なくても。

いいじゃないか、そんなに急いでボタンを付けなくても。

 

土地が、街のゆとりが、そこに住む人の内面を形成していくのだろうか。

ここに住み続けることで、僕の心にゆとりができていくのかもしれない。