パピヨン

蝶と蛾の違いってなんだろう?

畳で息絶えた、燻んだ茶色の物体を見てふと思う。

はたけば粉が舞いそうだ。

 

昔は「蝶は綺麗だ」と思ったけど、今はそうでもない。

よくよく近くで観るとグロテスクに感じたりもする。

 

昆虫もそうだ。

子供の頃は「ウゲーっ、触りたくない」って思わなかったんだけどな。

 

それはたぶん、言語を習得するからだろう。

フランス語では「パピヨン(papillon)」と言い、蝶と蛾を区別しないらしい。

「汚い」「キモい」とか、そういう言語を学び、体得するから「ゴキブリー!1ギャーーー!!!」ってなるんじゃないかな?

 

4歳の坊。

「ゴキブリ虫ー!!」と言いながら、マジマジと眺めていた。

どの段階で「ウゲーっ!!」となるのだろうか?

 

生まれつき盲目の人に「赤い色」は、教えることができない。

意思疎通の難しさ。

それは「体験したこと以外は理解できない」ということが根底にある気がする。