目が見えるから勘違いしてしまう

読書の休日。

読み切ったのは、サラマーゴの白の闇。

100分で名著ってテレビ番組で、高橋源一郎さんが「これめっちゃくちゃ面白いよ」って勧めてたのね。

その通りでした。

車の運転中、ある日突然失明した男。

それを皮切りに次々と感染によって失明していく人々。

初期の失明者は強制収容所へ送られ、汚物にまみれた阿鼻叫喚の日々。

唯一目が見え続ける、一人の女性。

その女性が収容所の悪党に強姦されるシーンが辛すぎて、読めなくって、数日間を置いてたんだけど、今日から再開して、良かったぁ、続きの状況はいい方向へ行って。

小説だから僕が落ち込む必要ゼロなんだけど、すげえ移入しちゃう。

トータルの三分の2くらいのところ、その一言に打たれる。

そうか、僕たちは目が見えるから己の所有物があると勘違いしてしまうんだ。

でもね、これ、なんの前振りもなしに、いきなり「お前が所有していると思っているのは幻想で、それは目が見えるから」って言われてもキョトンとするだけ。

長い、長い250ページ以上の話の流れがあって、その後にくる言葉だから響く。

人に何かを伝える、理解させようとする時、そこまでに必要な前振りがある。

そして、ほとんどの人はその前振りを省こうとする。