ドンッ!ハアーッ!ギシギシ―ッ!!

ゲストハウスのドミトリールームをよく利用する。

出張の時ね。

宿泊費は1泊9000円支給されるから、もっといい部屋に泊まれる。

でも、できるだけ泊まらない。

「生活水準を上げない」

これをテーマの一つとしている。

と、言いつつ、収入が上がると、人間現金なもので・・・。

財布のひもは自然と緩くなってしまうもの。

そんな中で、ドミトリーに泊まるのは強制的に「質素側」となる。

時々泊まりの出張があるのは、生活水準を下げるいい「気つけ」になっているかもしれない。

 

ドミトリーは4~10人部屋くらい。

たいがい2段ベットだ。

相部屋のガイジンさんに「シャワー使っていいですか?」と尋ねると「ニホンゴワカリマセン」と返されたりもする。

「シャワー、イン、OK?」で通じたようだ。

 

2段ベットは柱が命。

柱の気合いが足りないと、下の段の人はギシギシ音に苛まれる。

先日も、下の段に宿泊した。

夜も更けきってから、天井人現る。

 

ドンッ!ハアーッ!ギシギシ―ッ!!

 

この三拍子がそこそこ止まない。

せめて、「ハアーッ!」だけでも止めてほしいものだ。

 

さあ、こんな時どうする?

僕は「夜と霧」を想う。

ナチス強制収容所にいた、ヴィクトール・E・フランクルの名著。

すし詰め状態の、糞尿まみれのベッド。

あのシーンを想う。

 

ドンッ!ハアーッ!ギシギシ―ッ!!

 

うん、見上げた二段ベッドは軋んで、煩い。

でも、それだけだ。

糞尿が落ちてくるわけじゃない。

スーっと、気が楽になる。

なんだ、どうってことない。

疲労感さえあれば、十分眠れるのだった。