父は優しい男である。
逆に相方の母は常に悪態をつくのが仕事のような人だ。
それは言い過ぎかもしれないが、母はよく顔を顰める。
GWは久しぶりに帰省した。
奥さん曰く、食後の洗い物中の父に対して「ありえんわ」「信じられんわ」などと、その所作にダメ出しをしていたという。
父は反抗することなく「ありえんね」「信じられんね」と同意しながら洗い物を続けていた。
仏の対応である。
実際、朝には仏壇に正座して向き合い、お経を声に出して読んでいる。
毎日のルーティンが心を整えるのかもしれない。
年々老いていく両親。
父の服用する薬の種類も増えていく一方。
「まだ少ない方だ」と自分に言い聞かせるように話す父。
「自分はまだ大丈夫」は「自分はもう大丈夫ではない」と同義だ。
あと、何回顔を合わせるかわからない。
せっかく生きているのだから健康な状態でいてほしいものです。