バターリッチクッキー

キッチンから香ばしい香りが漂う。

見て見て、と奥さんが焼きたてのクッキーを見せてくれる。

もう、死ぬほど美味しそうなのね。

1個食べたら終わり。

全部なくなるまで食べきる自信がある。

悪い意味で。

 

僕が小麦粉を食べない、という影響をもろに受けている奥さん。

面倒だとも思うので、「僕の分は作らなくていい」といつも言うのだが、それはそれで嫌なのだとめげずにいる。

自分の存在意義が下がるのが嫌なのだろうか?

 

その小麦粉の一環で、キッチンに残存してる小麦粉の処分のために、その白い粉をクッキーに変えた、というわけだ。

ドカーってバター投入してバターリッチなシンプルクッキー。

とびきり美味いに決まってる。

 

食べた奥さんがポロリ。

すげえ材料シンプルなのに、極上に美味い。

お菓子なんて、スーパーに置いてある市販品の原材料名の羅列を見ると、どれもとんでもないくらいの種類の原料が書いてあって。

それはそれで食べるととっても美味しいし日持ちもするし安いしで、いいことずくめなんだけど、たぶんにその奥さんの焼いたバターリッチクッキーにはかなわない。

何でもシンプルが一番なんだね、と二人頷く。

でも、それを実際に実行することがいかに難しいか。

どれもこれもきっとコストダウンの結末、それがスーパーに陳列されている。

どんどん複雑になって、本物に似せた「香料」で誤魔化された安い商品になってる。

あの原材料名の羅列はそういうことなんだなって思う。

 

どの業界もそうだけど。

日本人、ちと頑張りすぎ。