天を回らし

天を回らし、戦局を逆転させる。

人間魚雷「回天」にはそんな願いが込められたという。

 

記念館が近い。

近いと言っても、フェリーに乗らなだけど。

でも、行こうと思った。

たまたまできた休日。

百聞は一見に如かず、と言うじゃない。

 

実際に見るまでは正直「なんちゅうもん作ったんじゃ!?」って気持ちだった。

飛行機の神風特攻隊は有名だけど、その飛行機自体は「生きて帰ってこれる」前提で作られているじゃない?

だから。

 

レプリカ見たり、搭乗員のビデオを見たり、散っていった若者たちの集合写真を見たり。

なんだろう、否定できなくなった。

発案者は邪道だとわかっていながら、本気で「天を回らし」たかったのだ。

搭乗者は死を前向きに受け入れていた。

もちろん、受け入れるまでの葛藤は凄まじいけれど。

そうでない人もいたろうけど。

 

大義

 

「なぜこれに乗るのか?」を彼らは突き詰めて、納得していた。

家族を、恋人を、子供たちを・・・最後にそれは国を守ること。

身近な人のために、人は死ねる。

強制的に「やらなければならないこと」が降ってきた時代。

 

でも、思うのだ。

今の時代でただやりたいこともなく、「給料がどうの」とか「老後の生活は大丈夫?」とか言ってるよりも。

そういう生き方よりも、彼らの方が「豊か」だったのではないか?

だからこんなに集合写真の顔が晴れ晴れしているのではないか?