その何かは瞬時に埋まる

空隙率の高い3LDK。

そこは常に何かが欠けている。

その埋まらない欠陥を誤魔化そうとして、食べる。

食べても食べても埋まらない。

でも胃袋とお金と時間には限界があるから、その内食べるのを止める。

少しホッとするが、ボッコリ出た腹を見て「今日もやってしまった・・・」と性懲りも無く俯く。

俯くとだらしない腹が目に入るから、目線を少し上げる。

 

業、である。

業に囚われ、そこから逃れようともがいたり、諦めたり、波を打ちながら、それでも人は自分を何とか守りながら生きていくのである。

 

奥さんと坊ちゃんが来ると、その何かは瞬時に埋まる。

食べる必要が、ないのである。

今日は、お菓子も酒もなし。

夜、奥さんがこしらえた鍋を控え目に食べ、満腹になった奥さんから「残りを食べて」と言われるほどにがっついてもいなかった。

 

但し、満たされた状態では戦えない。

黒田投手は現役時代、シーズン中はあえて家族と別居していた。

家族といるとやさしい気持ちになってしまうと。

 

難しいね、バランスよく生きるのは。

バランスが良すぎるのも無味無臭な味気ないことのような気もするけれど。