皆さん、一緒に余りましょう

初めて降り立った駅。

改札を出て南口方面へ。

通路の屋根がなくなると、ブワッとひらけたロータリーというよりも広場に近い空間が広がる。

出口側には待ち侘びてだらんとしたタクシーが3台連なり、いつ来るとも知れないお客さんを延々と待っている。

ペットボトルや空になったコンビニ弁当のプラ容器がベンチの側にいくつか散乱し、ベンチには何を待っているのかわからない厚着の若い男が一人深く腰掛けている。

ゴロゴロ、と低いエンジン音がしてバスが停留所に停まる。

中には一人だけ乗っているようだが、降りてこない。

風がよく通って気持ちがいい。

余ってるなぁ。

僕は僕で、同行者との集合時間よりも早くきて時間を持て余している。

あらゆるものが過剰にある。

 

家も余っているし、スーパーに行けば夏だろうが冬だろうが常にだいたいの野菜は買えるし、ヤフーニュースをひらけば名だたる大企業がこぞって希望退職者を募っている。

成熟社会にコロナの追い風も相俟って、とにかく余りまくっている。

時代の流れには逆らえない。

皆さん、一緒に余りましょう。