22回

お砂場セットがない。

バケツの代役として選ばれたのは、明治おいしい牛乳の空になった紙パック。

 

公園に入ると、既にお砂場ではとある兄弟による巨大な穴が掘られていた。

さて、我が子。

その兄弟になんの断りもなく、蛇口でおいしい牛乳に水を汲み、その穴に投入するという一連の動作を延々と繰り返していた。

我が子よ、割と間違っておるぞ。

 

兄弟が帰宅した後、その行為は少しマシになった。

シャベルでその穴を改造する、という工程を挟みながら水を供給していく。

さて、そろそろ夕飯時。

その時僕は水供給係を担当していた。

「あと3回水入れたら帰ろう」と提案した僕。

坊ちゃんは指折りで数え始めた。

苦労して残りの水投入回数を算出した後、その顔が晴れた。

 

あと22かい!

 

戦意喪失しながらも、9回目の水供給をしていた僕に「おそいから11かいでいいよ!」と、坊ちゃんは回数を減らしてくれた。

お砂場の水たまりというのは、ある水位以上はなかなか溜まっていかない。

それにしても、どういう計算で「22回」という数字が出たのだろう?