機械は正直

8年前に納めた設備の改良工事。

足場を設置し、槽内に降り立つ。

まずは状態確認。

夏の下水処理は、臭気も割増料金。

水だって、暑いほど腐りやすい。

 

ん?

なんだこのサビコブは?

おかしい、だけど初めて見る現象で何が起こっているのかよくわからない。

それ以外におかしいところもないし、なにか致命的な不具合が起こっている様子もない。

そのまま予定通りの作業を進める。

そして、工事初日の終盤戦。

最後のパネルを取り付けようとした時、作業員が異変に気づく。

ボルトが締め付けられない・・・。

取り合い先の裏ナットを下から覗き込むと、腐食して欠けていた。

 

しばらく混乱した後、全てが繋がる。

全貌が見えた。

機器の一部が、図面と違う材質で作られていたのだ。

異種金属が水中で接触すると、腐ってしまう。

機械は正直だ。

進行の差こそあれ、全面的に腐食している。

そして、この箇所は全部で・・・約1000箇所。

はい、さようなら。

 

・・・いや、当然、さようならするわけにもいかない。

工事2日目終了後、店社に戻り、会議室に入る。

開始の5時に間に合わず、会議は既に中盤戦の様相。

うん、「こうなれば一番いいな」という方向にはなってない(笑)。

しょうがない、しょうがない。

 

会議後、実行部隊で翌週作業の打ち合わせをやった。

そんで、話が噛み合わない箇所があるの。

誰が悪いとかじゃなくて、認識の違い。

白状すれば、僕の理解力不足。

自分の都合いいように勝手に解釈しちゃう、悪いクセ。

同じ場所にいて、同じ音を聞いていたはずなのに、違う認識をしてる。

人間っ変な生き物でさ。

そんなところで多様性いらんちゅうねん。

長いことあーだこーだ言い合って、実行部隊間では納得できるところに落ち着いた気がする。

 

情報共有の難しさを痛感した夜。