二人でノートパソコンを開いて打ち合わせをしていた。
Wi-Fiという便利な時代。
社内であれば、どこでもネットワークに繋がっていられる。
いや、見方を変えれば、それは鎖に繋がれていることなのかもしれない。
僕がお願いする。
「そのメール、転送してもらえますか?文章書かなくていいからね」
わかりました!元気よくそう言った彼は、メール文書に「青髭さん」と書き始めた。
ちょ、ちょ、ちょい待てい!!
僕の必死の制止を振り切り、彼は丁寧に「転送します」まで打ち込んでメールを送ってくれた。
言い知れぬ脱力感が僕を襲った。
僕は縋るように訴えた。
そういうムダな時間をかけさせるのは申し訳ない気持ちがある。
僕に対しては「お疲れ様です」いらない。
気持ちだけテレパシーで送ってくれれば、それでいい。
毎回「お疲れ様です。」「お手数おかけして申し訳・・・」と書く人。
必要な時もあると思うの。
例えば、誠意を示さなきゃいけない時。
でも、ほとんどの場合、「ムダな時間」じゃない?
そういう「常識」「マナー」「習慣」が少しずつでもいいから、なくなっていけばいいと思う。
メールの度に「お疲れ様です」を打ち込んでさ、会社辞めるまでにトータル何時間だろう?
グーグルが勝手に打ち込んでくれるかもしれない。
でも、それは根本の解決じゃない。
何かをやめることで、時間を作ることができる。
その時間を、自分の大切なことに費やすことができる。
あなたにとって「お疲れ様です」は大切なことですか?
ちなみに、彼から届くメールには、今日も「お疲れ様です」が漏れ無く入っている。