いじめ、それはヒマな人がすること。
現場の時間が押していた。
でも、今日は絶対にここまでは終わらせたい、というポイントがある。
なんとか、そこまで。
そう思いながら佇んでいたんだけど、なかなか進まない。
チンタラしやがって。
トロい奴がいた。
いや、トロいのはいいの。
手が空いたなら、何すればいいか考えて、わかんなかったら他の人に聞けばいい。
慣れない作業でスピードが出ないのはある程度仕方がない。
あろうことか、ベトナム人実習生をいびったり、こき下ろしたり。
いやいや、あなたが一番動いてないから、日本人。
明らかに「僕はヘルプで来たんです」オーラ全開。
邪魔だ。
他の作業員にも悪い影響が出ている。
もう、かなり時間がない。
この人の分、自分が動くことにした。
ほんとは、全体を見て、変なことしないか、作業のチェックに徹したいんだけど。
そもそも、そんなにボロカス言うほどなのか?実習生は。
僕は直接作業を教えた。
ゆっくり、丁寧に。
言葉はうまく通じないけど、現場だからモノはあるし、モノを見せながらなんとなく説明はできる。
そんで、教えた通りにできるか最初見てればいいだけ。
違ってたら、そう言えばいいだけ。
そんで、できるじゃない。
まじめにやってくれるじゃない。
そんなにテキパキ速くはないけど、十分戦力になるよ。
いびる奴、いじめる奴、ほんとに邪魔。
そんなことに時間使わないで、さっさとやってほしい。
実習生ができなかったら、自分の指示のどこが悪かったのか?という視点を少しでいいから持ってほしい。
自分の指示が根本的に間違っている可能性だって、あるんだから。
僕はスケジュール通りに終わらせたいだけ。
できるだけ早く終わらせたいだけ。
でも、こういう奴は、そうじゃない。
自分が組織の中でどういう立ち位置か、上のグループに含まれているかが大事。
下の人間をバカにして、それで笑いをとって、「自分はこいつより上で、バカにする立場で、笑いもとれる」ということを確認して、安心してる。
くだらない。
ズレてるんだよ、仕事に対する気持ちが。
ないんだよ、「これさえあれば、おれは大丈夫」と思えるものが。
時間が足りない、もっとこれに時間をかけたい、と思えるものが。
おまえにできるのかよ?
言葉もろくに通じない異国の地にやってきて、一番汚い仕事をやらされて、いびられて、いじめられて、それでも耐えて、稼いだお金を母国の家族に送金する。
かっこいいじゃないか。
僕は、本当に腹が立つ。