お湯

昨日までの流れから、少し脱線します。

飲食店修行時代、ゴキブリさんとは毎日ともに生きてきた。

とにかく、彼らはめげない。

定期的に業者さんが「駆除」にやってくるんだけど、次回の業者タイムまでに元通りの数に戻ってる。

 

最初の頃、衝撃だったのはベテラン社員さんが自らの生指で小さめのゴキブリさんを圧殺したシーンだ。

それはまさに、「アリさんを少し激しめに指で潰す」くらいの儀式に見えた。

飲食店で働くということは、ここまで心身を充実させる必要があるのか……。

結局、僕の精神はそこまでの高みへは到達しなかった。

手でさっと床に落とし、間髪入れず踏みつぶす。

その動作がややうまくなった程度であった。

時に、手の甲で追い払い、時に見て見ぬ振りをしてやり過ごした。

 

だがしかし、お客さんの目に入りそうな奴らは見過ごすわけにはいかない。

しかも、床に落としたゴキブリさんを「ダンッ!」と踏みつければ、カウンターのお客さんは「何事っ!?」となってしまう。

そこで、辿り着いた方法が「お湯」だ。

これがよく効くの。

プリプリしたゴキブリさんにやさしく、かつドパッとお湯を注ぐと、ゴキブリさんは一気に天に召される。

 

修行中、どれだけのゴキブリさんを天に送ったことか。

熱かったよな、堪忍な!